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「総額2740万円のNearly ZEH」北海道住宅新聞掲載

2023年3月15日(水)北海道住宅新聞

断熱等級6 + 壁面太陽光

総額2740万円のNearly ZEH

札幌・藤城建設

木材・建材の値上げや、 札幌を中心とした地価高騰によって住宅建設にかかる費用が上昇している中、 (株)藤城建設 (札幌市、 藤城英明社長) では、 土地・ 諸経費を含め総額2740万円 (税込) で Nearly ZEH の基準をクリアする住宅を、このほど札幌市内に完成。

営業から打ち合わせ、 設計等にかかる経費節減や、リーズナブルかつ付帯工事費用も最小限で済む土地の手配、コンパクトな総2階のプラン提案などによって コストを抑えつつ、屋根・壁面への太陽光発電パネル 設置を始めとするオーナーの要望に応えた。

完成した住宅は、 同社のローコストブランド 『ゆきだるまのお家』。 在来工法による延床面積28坪の 3LDKで、 オーナー家族3人と愛犬2匹が暮らす。

断熱性能は UA 値 0.28W で HEAT20・G2 グレード= 断熱等級6に相当し、 太陽光パネルを屋根に 2.43kW、 外壁の南東・南西面に3.51kW、 合計 5.94kW 搭載。

一次エネルギー消費量は太陽光発電 なしで48%削減、 太陽光発電を含めると 76%削減と なり、 Nearly ZEHになる。

この性能・仕様の住宅を、 土地代 350万円、 建設 費 2320万円 (税込) 諸経費70万円(同)を合わ せて総額2740万円で実現できた理由は大きく3つあ る。

一つ目は、営業から打ち合わせ、設計、 コーディ ネートまで、 同社の川内玄太常務が1人で担当するこ とによる経費節減。

オーナーからの要望を反映したプ ランを、全体の予算を踏まえたうえで人手と時間をか けることなく作成・提案できたことで、営業・設計等 にかかる経費が抑えられた。

2つ目は、同社不動産部門の交渉力・提案力によっ て低価格かつインフラ整備などにコストがかからない 土地を手配できたこと。

建設地は札幌市北区篠路町上篠路で、利便性は高くないが地価が安く、土地を所 有していた不動産会社と上下水道の引き込みなどに かかる費用なども想定して交渉することにより、リー ズナブルな価格で契約できたという。 なお、近隣では 杭が10~12m必要なところ、今回は地盤調査の結果、 5mで済んだこともコスト軽減につながっている。

3つ目は、オーナーの要望を取り入れつつコンパク トかつ構造に無理のないプラン 設計。 書斎やパント リー、 広い土間、 独立した洗面室と脱衣室などの要望 をすべて叶えると、一般的には 3LDK でも32~34 坪の広さは必要となるが、 書斎は主寝室に上部を開放 した間仕切りを設けてスペースを確保するなど、 設計 上の工夫で28坪の3LDKプランにまとめた。 また、1・ 2階で柱や構造壁の芯ずれがないなどムリ・ムダのな い構造設計や、 棚板の設置などはオーナーが自ら DIY で行うことも、総額を抑えることができたポイントと なっている。

冬季の晴天時は壁面太陽光で エアコン暖房が可能に 同社では、暖房の使用によってエネルギー消費 が多くなる冬季に、積雪の影響を受けることなく太 光発電の恩恵が受けられるよう、 太陽光パネルの壁 設置に積極的。 今回も全容量の6割近くを壁面設置 の時の口には2kWを超える発電量 を記録。 暖房はリビング設置の10帖用寒冷地エアコ ン (2.8kW) 1台で行うが、 電力消費量は室温設定 22~23℃で1kWh以下と見込まれるので、晴天時 の日中は太陽光発電で十分まかなうことが可能だ。 なお、太陽光発電による電気は自家消費し、余った分は売電することになるが、 試算では屋根設置の太陽 光パネルの発電分もあわせて年間10万円以上の売電 収入が得られる結果となっている。

同社の川内常務は 「こどもみらい住宅支援事業の 補助金100万円の交付が決定しているので、 実質 2640万円と想定よりも安く収まった。 お客様にとっ てはカーテンや家具、 引越しなどの予算も確保できる など、 安心感の高い家づくりになったのではないか。 太陽光パネルの壁面設置は日当たりの良い部分で行う ため、開口部とのバランスをどう取るかなどのノウハ ウが必要だが、冬季のエネルギー消費量を削減する 方法としては一番現実的なので、 『ゆきだるまのお家』 の標準スペックにすることができれば」と話している。